地方自治体の会計事務入門

自治体職員向けに会計事務の制度をまとめました。

会計年度と出納整理期間

 地方自治体の活動は特定の期間に限られず、合併等がない限りは継続していくものですが、その財政状況を明らかにするため会計年度が設けられています。

 1 会計年度について

 会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年の3月31日に終了します(地方自治法第二百八条第一項)。予算と決算は、○年度予算、○年度決算というように会計年度を基準に整理され、収入や支出等の財務活動は必ずいずれかの年度に属します。*1

 2 出納整理期間について

 ある会計年度の翌年度の4月から5月に、収入と支出に伴う現金の出入り*2を整理する「出納整理期間」が設けられています(地方自治法二百三十五条の五)。例えば、令和元年度予算の場合、会計年度は令和元年4月1日から令和2年3月31日までで、出納整理期間は令和2年4月1日から5月31日までです。

 出納整理期間はあくまでも出納を整理する期間であるため、出納整理期間中に新たな支出や収入をすることはできません。例を挙げて説明します。収入の場合、令和元年度予算の税金の課税を令和2年3月までに行い、それに関する現金を令和2年4月または5月に受け取ることは可能ですが、令和2年4月以降に課税することはできません。支出の場合、令和元年度3月までに物品購入の契約を結んで納品を受け、令和2年4月または5月に代金を支払うことは可能ですが、契約締結や納品が令和2年4月以降であれば誤った処理になります。

*1:収入と支出の年度区分は、それぞれの記事で別に解説します。

*2:現金の出入りのことを「現金の出納」と言います。収入や支出を行う権限は知事や市町村長にありますが、現金や物品の出納を行う権限は会計管理者にあります。