地方自治体の会計事務入門

自治体職員向けに会計事務の制度をまとめました。

一般会計と特別会計、公営企業会計

 地方自治体の会計は、一般会計、特別会計及び公営企業会計の3つに分けられます。 

1 一般会計と特別会計
 一般会計は、特別会計と公営企業会計に属する事業以外の事業、全てを経理するもので、議会、福祉、医療、環境、農林水産、労働、産業、土木、警察、消防、教育等、自治体の一般的な業務全般を扱います。
 特別会計は、自治体が事業を行う場合等、特定の歳入を特定の歳出に充て、一般会計と区分して経理する必要がある場合に、法律*1または条令で設置されるものです(地方自治法第二百九条第2項)。例えば、国民健康保険事業*2介護保険事業*3公営住宅の管理*4簡易水道*5等です。
 一般会計と特別会計は、現金の収入、支出があった時点で金額を計上する現金主義の考えに基づいて経理します。

2 公営企業会計
 公営企業会計は、株式会社等と同様、発生主義と複式簿記を採用して経理するもので、地方公営企業法で定められています。対象となる事業は次の通りです(地方公営企業法第二条各項)。
(1) 水道事業(簡易水道事業を除く。)
(2) 工業用水道事業
(3) 軌道事業*6
(4) 自動車運送事業
(5) 鉄道事業
(6) 電気事業
(7) ガス事業
(8) 病院事業
(9) その他、政令で定める基準に従い条例で定めた事業
 なお、地方公営企業法では、財務に関する規定だけではなく組織等に関する規定もありますが、(1)から(7)の事業には全規程が適用され、(8)は財務に関する規定が必ず適用され、財務以外の規定の適用は任意です。また、(9)に公営企業法の全部または一部を適用するかは、条例で定めます。

*1:地方自治法では条例で設けることができることしか規定されていませんが、法律は条令よりも上位の法規であるため、法律でお設けることができます。

*2:例:保険料を国民健康保険事業の財源とする。

*3:例:保険料を介護保険事業の財源とする。

*4:例:家賃を公営住宅の整備や維持に充てる。

*5:例:水道使用料を設備の整備や維持に充てる。

*6:路面電車のこと。