地方自治体の会計事務入門

自治体職員向けに会計事務の制度をまとめました。

歳入と歳出

 ある会計年度の支出のことを「歳出」と言います。また、ある会計年度の収入のことを「歳入」と言います。

 原則、歳出は同じ会計年度の歳入を財源としなければなりません(地方自治法第二百八条第二項)。このことを「会計年度独立の原則」と言い、例えば、令和2年度の歳出予算で物を買ったり補助金を支出する場合、同じ令和2年度の歳入予算として計上した税金などの収入を充てなければならないということになります。

 何が会計年度独立の原則の例外か実務上意識することは少ないですが、次のものが挙げられます。
・過年度収入
 前年度以前の予算の歳入を出納整理期間後に収入するもの。税や使用料、手数料、補助金の返還金等の納付が遅れた場合等。
・過年度支出
 前年度以前の予算の歳出を出納整理期間後に支出するもの。補助金の精算により還付をしなければならないが、出納整理期間中に支出できなかった場合等。
・予算の繰越し
 繰越明許費(地方自治法第二百十三条各項)と事故繰越(地方自治法第二百二十条第3項)に分けられます。
 繰越明許費とは、自治体の予算を構成するもので、予算成立後の理由により年度内に支出できない場合に、議会の議決を経て翌年度に繰り越して支出します。
 事故繰越とは、災害や事故等の予期せぬ事由により年度内に支出できない場合に、翌年度へ繰り越して支出します。繰越明許費と異なり議会の議決を要しませんが、支出負担行為*1
 予算を繰り越した際は、翌年度5月31日までに繰越計算書を作成して、次の議会までに議会に報告しなければなりません(地方自治法施行令第百四十六第2項及び第百五十条第3項)

*1:普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為」と規定されていますが、ここでは便宜上、契約締結や補助金の交付決定と思ってください。